☆☆☆2003年10月21日☆☆☆
★★★女神の鏡、九寨溝★★★
朝5時半過ぎ、自然に目が覚めた。なんとなく息苦しいな。
ここは標高が1980メートルあるから空気が薄いのかな。麗江もこんな感じだったな。

僕は寝起きはいいので1分ほどでベッドから出てシャワーを浴びた。
ゆっくりしていてバスルームから出てきたら6時20分。あれっ、いつのまに。
すぐに身支度を整えてカフェに向かった。

ロビーに下り外に出ると、うおーっ、涼しい。いや寒い。息が白くなるよ。
でもこの引き締まるような寒さが、これから行く九寨溝への期待とあいまって
自然と気分が高揚してくる。空を見上げると、濃紺のキャンバスに無数の星、そして月。
絹のような真っ白な雲も見える。今日はいい天気になりそうだ。

朝食はいつものようにパンとコーヒー、といきたいところだったがコーヒーが見当たらない。
まあ紅茶でもいいや。それと小さな肉マンを3つ。僕はこれが大好きにだ。
適当に朝食を済ませ、再び外に出ると、空は明るさを増していた。

部屋に戻り要らない荷物をスーツケースに詰めこんだ。
そして8時半に再びロビーに下りた。まずはバスに乗りこみバス乗り場に向かう。
九寨溝は一般車両は入れない。エコカーと呼ばれるガス車に乗り換えなければならない。

ホテルからは5分ほどで到着。僕達はツアーなのでチャーターバスだ。
一般の人達は緑色のバスに乗る。どうやら定員制で、立っている人はいないようだ。

入場料は145元、けっこう高いな。
しかしバスが走り始めて数分で、その考えは逆転、この世の物とは思えない美しさだ。
いくら払っても惜しくない。本当に夢の中にいるような景色だ。とても言葉では表せない。

朝日を浴びた川面はキラキラと光を放ち、流れる水の音は心を洗う。
そして神秘的な、まるで吸いこまれそうな透き通ったコバルトブルーの水。
さらにピークを向かえた紅葉と、空の青さが水面に映り、その美しさを倍増させた。
中国に、いやこの地球に、こんな素晴らしいところがあったなんて。
思わず立ち尽くしてしまい、僕には表現できる言葉が出てこなかった。

伝説によると、女神が悪魔と戦った時、魔法の鏡を落とし、
その破片がこれらの湖になったという。

バスは上流に向けて走っていく。標高と共に、加速度的にその美しさを増していく。
デジカメのモニターに映る映像も信じられないほど美しい。
でも、僕が今目にしているこの景色は、デジタルデータなんかに置き換えることはできないよ。
長時間かけて、ここまで来た甲斐があった。

バスは要所で止まり、下車して散策する。
本当に「美しい」以外の言葉がみつからない。
天気も良く、水の量も例年より多く、普段は枯れている滝も轟音を上げている。正に瀑布だ。
日差しがあると暖かく、歩いていると上着がいらないほど。

ここはもともと9つの村があったために九寨溝と名付けられたというが、
未だに5つの村(というより集落だろうが)が観光客の行けない未開放地区だという。
それを聞くと一層秘境のイメージが高まった。

道はまだ完全には整備されておらず、所々工事中。
分岐(合流)点から上は未舗装のダート。でもこの方が秘境の雰囲気を味わえる。
最後部に座った人は、段差や穴を通る度に跳ね上がっていた。
でも文句を言う人は一人もいない。そんなことは全く気にもならなのだ。

昼食は九寨溝の中に唯一あるレストラン。
早めに食事を切り上げて、1階のお土産屋、というより屋台街を散策。
チベットの衣装を着た小数民族の人達が店を出している。

ある店で気に入った物があったので値段交渉。でも北京語すら通じない店もある。
まあチベットの方の人だから北京語を話せないのもまあわかるな。
そういう時は仕方ないので金額を書いて交渉する。
ここは観光客だからといって、メチャクチャな値段を言わない代わりになかなか値引きしてくれない。
最初1枚120元と言っていたところを、2枚買うからと1枚90元にしてもらった。

九寨溝は世界自然遺産に指定されているからか、勝手に店を出せないようだ。
例の「センエン」攻撃がない。アレがないと中国の観光地に来たような気がしないな。
たくさんの物売りが寄ってくると、うっとうしい気もするが、誰もいないとちょっと寂しいな。

昼食の後は合流点の反対側に入っていった。
標高は一気に上がり、最高地点で3150メートル。ちょっと無理すると息が切れる。
午後になると雲が広がり、時折雨に混じって雪も降ってきた。
でも、あの澄んだ水を見ると、寒さなんか全く気にならない。

九寨溝の観光を終え、バスは駐車場に戻って来た。
チャーターバスで、かなり効率よく回ったけど、それでもとてもじゃないが見きれない。
またいつか、別の季節に来てみたら、全く違った表情をしているかもしれないな。

6時前、ホテルに戻り、バスタブにお湯を入れてみると、栓は直っていた。星を1つ返そう。
しばらく休んでから7時20分ころ夕食を食べにカフェに行った。
この時間ならまだ空いている。メニューは少ないながらも昨日とは違っていた。
腹8分目ほど食べて部屋に戻った。

ああーっ、今日は最高の一日だったな。予想を遥かに超える美しさだったよ。
さて明日はここと並ぶ世界自然遺産の黄龍だ。黄龍も楽しみだな。
標高3500メートルの高地の往復5時間のトレッキングだ。
今日は早めに休むことにしよう。

本日の歩数:12234歩(誤動作の可能性も否定できない)
九寨溝国際大酒店泊 ★★★★★ 3347号室
JIUZHAIGOU INTERNATIONAL HOTEL
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